「生活がギリギリ」「身寄りがいない」――
そんな人にこそ、最期まで自分らしく生きるための準備が大切だと私はケアマネジャーとして働く中で強く感じています。
年金が少ない、医療費がかさむ、頼れる家族もいない。
そうした方の人生の終盤は、現実としてかなり厳しい局面に置かれます。
でも、たとえお金がなくても、最期まで自分らしく生きるための準備=終活はできます。
むしろ、“経済的に余裕がないからこそ”準備しておきたいことがあるのです。
生活保護の壁とその外にいる人たち
「生活が苦しいなら生活保護を受ければいいのでは?」
そう思う方も多いでしょう。実際、生活保護を受ければ、介護保険、医療、住居、生活費まで手厚くカバーされます。
しかし現場では、「ギリギリ生活保護が受けられない」方が非常に多いのです。
- 年金額がぎりぎり生活保護に該当しない
- 名義だけの資産がある(売却できない古い家や土地)
- 何の協力もしない家族と同居している
- プライドや地域での目を気にして申請に踏み出せない
こうした“グレーゾーン”の方々は、公的制度の隙間にこぼれ落ちています。
身体が元気なうちはなんとか暮らせても、病気やケガ、認知症の進行で一気に自立生活が難しくなります。
そして、そのときにはすでに支援に繋がる体力も気力もない。
それが、最も深刻なリスクです。
公的制度でできる支援の限界と現実
行政や公的サービスはもちろん存在します。
地域包括支援センターや社会福祉協議会(社協)が行う支援事業もあります。
たとえば…
- 日常生活自立支援事業(社協):通帳管理、支払い代行などをサポート
- 成年後見制度:判断力が低下した人の財産管理や契約を代行
- 高額療養費制度・介護保険の自己負担減免:医療・介護の経済負担軽減
ただ、これらはすべて対象が限られ、すぐに使えるわけではないという壁があります。
実際には、
- 書類が揃えられない
- 申請に同行者が必要
- 後見人が見つからない
- サービス導入までに数ヶ月かかる
…など、ハードルは想像以上に高いです。
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支援が届かないとき、どうすればいいのか?
公的制度が機能しないとき、私たちは「民間」に目を向けます。
- NPO法人や宗教団体による無料相談や見守り支援
- “高齢者サポート”を掲げる民間保証人会社
- 地域の民生委員や自治会による声かけ・訪問
- 配食業者・訪問看護師がSOSの初期発見者になることも
また、「遠い親戚に連絡を取る」「昔の友人をたどる」など、
人との“細い糸”をたぐり寄せる作業が必要なこともあります。
相談先としては以下のような場所がスタートになります:
- 地域包括支援センター(各市町村)
- 社会福祉協議会(生活福祉資金や日常支援)
- 市役所の福祉課・高齢福祉課
- 担当ケアマネジャー(在宅なら必ずついている)
「こんなこと相談していいのかな?」と思っても、まずは話してみること。
制度は冷たいものに見えて、“言葉にしないと届かない”という性質もあります。
【実体験】首の皮一枚でつながった支援の現場から
制度の網にかからず、自力での生活も限界に近い――。
そんな「はざま」にいる高齢者の支援に、私は何度も向き合ってきました。
たとえばある方は、生活保護には該当せず、身寄りもなく、収入もごくわずか。
今はなんとか生活できているものの、これからの暮らしを考えると不安しかない状況でした。
私はまず一緒に市役所にかけ合い、状況を説明して支援の糸口を探しました。
また、安い費用で保証人になってくれる民間団体を探し、依頼にこぎつけました。
生活が本当に厳しい間は、社協の自立支援事業を活用し、短期間だけでも食材を届けてもらえるよう調整しました。
診療費が未払いとなっていたため、医療機関に頭を下げて分割払いにしてもらう交渉も行いました。
また、介護保険のサービス事業者にもお願いし、必要最低限の支援だけでも受けられるよう調整。
後見制度につなげるまでの1年間は、家族のように、あるいは本人の代理人のように動き続けました。
もちろん、これらはケアマネの業務範囲を超える部分もあります。
ですが、「誰かが動かなければ、その人の生活は成り立たない」――そう感じたとき、
動かざるを得ないのが、現場にいる支援者の本音です。
市や包括に相談しても、「制度上難しい」と言われてしまうこともあります。
そのたびに、“制度が変わらない限りこの現状は続く”という重さを感じずにはいられません。
終活は「希望の準備」である
「お金がないから、何もできない」――それは違います。
お金がなくても、やれることはあります。
- 役所で配布している無料のエンディングノートや市販のノートに自分の希望を書く(100円ショップにもあります)
- 信頼できる人や支援者の連絡先を紙にまとめる
- 遺言書が難しければ、メモ程度でも「意思表示」を書いておく
- 施設や病院で、「こうしてほしい」「この人に連絡してほしい」と伝えておく
誰かに託すためには、「あなたの意思」が必要です。
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終活とは、死ぬ準備ではなく、「最期まで自分らしく生きる準備」です。
たとえ制度の狭間にいたとしても、あなたの言葉や意志でできることがある。
そしてそれを、支える仕組みを社会としてつくっていくことが求められています。
まとめ|「誰かが動かないと、生きられない」社会の中で
経済的に困窮し、身寄りもいない高齢者の終活。
それは今後ますます増えていく、この国の“現実”の一つです。
すべての人に平等な終活ができるわけではない。
でも、「小さな支援の糸」を誰かがつなげば、命と尊厳が守られることがあります。
私はそれを、何度も現場で見てきました。
このブログを読んだあなたが、
自分のために、あるいは周りの誰かのために、
「支援の一歩」を踏み出すきっかけとなれば幸いです。


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