お酒は人生を彩る大切な楽しみの一つ。晩酌を日々の活力にしている方も少なくありません。
しかし高齢になると、体調の変化や病気、そして介護・施設利用といったライフステージの変化により、お酒との付き合い方を見直す必要が出てきます。
ここでは、ケアマネとして現場で感じた体験を交えながら、終活の視点から「お酒との付き合い方」を考えてみます。
高齢期とお酒のリアル
私がケアマネとして関わり始めた段階で飲酒を続けている利用者は、実はそう多くありません。
理由は病が一番の原因。
大病を患った中で飲酒を卒業される方は少なくないのです。
高齢者施設では、健康な方でも飲酒を制限される場合があります。
理由は、酔った勢いによる転倒や、職員や他の入居者への暴言・セクハラなどを防ぐため。
実際、私が担当した利用者さんの中には「夕食時の一杯が何よりの楽しみ」と話していた方がいました。
しかし体調が優れずお酒を飲めない日が続き、やがてがんが見つかりました。
晩酌が生きがいだった彼にとって、お酒が飲めなくなったことは体調不良のサインだったのです。
お酒を飲めるかどうかは、健康状態を映すバロメーターとも言えるでしょう。
適量ならいいのか?難しい「適量」の線引き
「お酒は適量なら体に良い」と耳にしますが、適量は人によって大きく異なります。
体格や年齢、性別、持病、薬との相性……これらが複雑に絡み、若い頃の“自分に合う量”が高齢期も同じとは限りません。
現場でも、医師から「長生きしたければお酒をやめなさい」ときっぱり言われて禁酒した方を何人か見てきました。
本人が納得できれば良いですが、少しの量がお楽しみという方からその一杯を奪うのが正解かは、支援者としても迷うところです。
美味しく飲み続けるための体調管理
お酒を楽しみながら健康を守るには、体調管理が欠かせません。
- 水分補給:アルコールは利尿作用があるため、飲酒時こそ水をこまめに摂りましょう。
- 休肝日を設ける:週に1〜2日はお酒を飲まない日を。
- バランスの良い食事:野菜・たんぱく質をしっかりとり、肝臓の負担を軽減します。
- 定期健診:肝機能や血圧、糖代謝を定期的にチェック。
これらを守ることで、適量のお酒を長く楽しめる可能性が高まります。
終活として「お酒との付き合い」を見直す
終活は、人生を振り返りながらこれからの暮らしを整える作業。
「自分にとってお酒とは何か」「もし飲めなくなったらどう過ごすか」を考えることは、自分らしい最期を描く大切なプロセスです。
エンディングノートに、好きなお酒や飲酒スタイルを書いておけば、家族や医療スタッフも希望を尊重しやすくなります。
👉[終活として、できるうちに好きなことをしよう ― 後悔しないために] もあわせてご覧ください。
施設・介護現場と飲酒
介護施設では、アルコール依存症の既往がある方には特に慎重な対応が求められます。
隣で誰かが飲んでいると、たとえ少量でも衝動が抑えられない可能性があるためです。
そのため「一律禁止」とする施設もありますが、近年は本人の楽しみを尊重しつつ安全を守る取り組みも増えています。
家族・施設・医師が連携し、個々の事情に応じた柔軟な対応が理想でしょう。
Q&A:高齢期のお酒にまつわる疑問
Q1. 体に良い「適量」とはどのくらい?
A. 体格や年齢、薬の有無などで大きく異なります。一般的には日本酒1合、ビール500ml、ワインならグラス2杯程度が目安。ただし高齢になると代謝や肝機能が落ちるため、若い頃の半分程度を目安にしましょう。
Q2. 医師に「禁酒」と言われました。少量なら飲んでもいい?
A. 医師の指示がある場合はまず守ることが最優先です。少量でも薬や持病によっては血圧上昇や肝臓への負担になります。どうしても飲みたい場合は必ず再度相談を。
Q3. 晩酌をやめると眠れなくなりそうで不安です。
A. 寝酒は一時的に寝つきをよくしますが、深い睡眠を妨げます。就寝前の温かいノンカフェイン飲料や軽いストレッチ、規則正しい生活リズムで改善できる場合が多いです。
Q4. 終活としてお酒に関して何を書けばいい?
A. 「好きなお酒の種類」「飲みたいシーン」「制限してほしい状況」など、エンディングノートに記しておくと家族や施設が希望を尊重しやすくなります。
Q5. 飲み会に行くのが楽しみですが、コントロールが心配です。
A. 事前に飲む量を具体的に決めておく、ノンアルコール飲料を交互に挟む、家族や友人に協力してもらうなど、周囲と一緒に守れるルールを作りましょう。
まとめ
お酒は人生を豊かにしてくれる存在です。
しかし高齢期には健康状態や生活環境の変化により、若い頃と同じようには楽しめないこともあります。
「自分にとってお酒はどんな存在か」を考え、体調に合わせた飲み方を選ぶことが、終活の一歩です。
美味しく、楽しく、一杯を長く味わうために。今から自分に合ったお酒との付き合い方を見直してみませんか。
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