「引退したら時間ができるから、本をたくさん読もう」
「仕事をやめたら、ゆっくり旅行に出かけたい」
「落ち着いたら映画を観たり、趣味に没頭しよう」
そう思っていたのに、いざ年齢を重ねると、目や耳、足腰が衰えて「やりたかったこと」ができなくなる方は少なくありません。
ケアマネジャーとして多くの高齢者の人生に関わる中で、私は強く感じました。
好きなことは、できるうちにやっておくことが大切だということを。
終活は“死の準備”だけではない
「終活」という言葉を聞くと、多くの方が「エンディングノート」「遺産整理」「お墓の準備」などを思い浮かべます。
もちろんそれも大切ですが、終活は「残りの人生をどう豊かに過ごすか」を考えることでもあります。
最期のときを穏やかに迎えるためには、「今をどう生きるか」が深く関わっているのです。
そしてその中で重要なのが、やりたいことを先送りにしないことです。
高齢になると増える“できなくなる後悔”
私が担当した利用者さんの中には、こんな声を聞かせてくださった方がいます。
「定年退職したら、図書館に通って好きな本をたくさん読むつもりだった。けれど、目が悪くなって小さな文字が読めなくなってしまった」
「夫婦で旅行を楽しもうと思っていたけど、足腰が弱って長距離の移動が難しくなった。もっと早く行っておけばよかった」
「映画好きだったけど、耳が遠くなってセリフが聞き取れなくなってからは映画館に行かなくなった」
こうした声を耳にするたびに、「やりたいことを“あとで”にしていると、その“あと”は来ないかもしれない」と痛感させられます。
好きなことを“今”やることの価値
人生の中で、「やりたいことをやれなかった後悔」と「やっておいてよかった満足感」は、大きな違いを生みます。
後悔は最期の時間を重くしますが、「あのときやったから良かった」という記憶は、本人の心を支える大きな力になります。
- 読みたかった本を一冊読んだ
- 行きたかった場所に一度でも行った
- 食べたかった料理を味わった
たとえ小さなことでも、その積み重ねが「自分の人生は満ち足りていた」と思える瞬間を作ります。
家族や周囲と楽しむことの大切さ
「好きなことをする」と聞くと、自分一人の楽しみを思い浮かべる方も多いですが、家族や友人と共有する時間もまたかけがえのないものです。
旅行に出かけたり、外食を楽しんだり、趣味の時間を一緒に過ごすことで、思い出は一人のものから“家族の宝物”へと変わります。
高齢者の方と接する中で、「孫と一緒に行った温泉旅行が忘れられない」「娘と観た映画が本当に楽しかった」と、思い出を語る姿を何度も見てきました。
こうした時間は、本人にとっても家族にとっても、かけがえのない財産になります。
まとめ:後悔しないために、好きなことは先延ばしにしない
「まだ元気だから大丈夫」「時間ができたらやろう」と思っているうちに、できなくなる日が来てしまうかもしれません。
体が元気に動く“今”だからこそ、できることがあります。
終活とは、単に最期に備えることではなく、最期を迎えるときに「やっておいてよかった」と思える人生を積み重ねることです。
後悔のない最期のために、どうか今日から一つでも「好きなこと」を始めてみてください。
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